俺様専務とあたしの関係


「美月、何かあった?」


給湯室で、片付けられる物から片付けていると、絢が声をかけてきた。


「何よ、いきなり」


あまりに唐突の質問で、あたしは一瞬戸惑う。


「元気ないじゃない。章人専務の秘書になってから、美月って少し明るくなったなぁって思ってたから気になって」


「明るい?あたしが?」


「うん。見た目の印象もだけど、オーラも。前はトゲトゲしていたのに、だいぶ丸くなったよ?」


「そ、そう…?」


そんな風に見られてたんだ。


ていうか、ほとんど絡みがなかったのに言うなんて、第一印象がそうだったんだろうな…。


と思うと、少し落ち込む。


あたし、どれだけ他人に対して壁を作ってるんだろう。


「ねえ、絢。絢は専務と何か関係あるの?」


あたしは絢の質問には答えずに、逆に質問をしてみた。


すると、少し間を置いて、絢は言ったのだった。


「それって、恋愛の意味でって事?」


ここで、“うん”と言えば怪しまれそうだけど、どうしても聞きたかった。


「そう…。だってほら、専務って絢には心を開いているぽいから」


「う~ん。社長秘書で、顔を合わせる機会が多かったからね。話しをする内に仲良くなったのよ」


あたしは毎日顔を合わせているのに、“仲良く”という感じになれないんだけど…。


「好き…になったりしないの?」


緊張をしながら聞くと、絢はキッパリと答えたのだった。


「お互いに恋愛感情はないわよ。関係を持ったりした事もないし」




< 110 / 194 >

この作品をシェア

pagetop