俺様専務とあたしの関係
「美月、何かあった?」
給湯室で、片付けられる物から片付けていると、絢が声をかけてきた。
「何よ、いきなり」
あまりに唐突の質問で、あたしは一瞬戸惑う。
「元気ないじゃない。章人専務の秘書になってから、美月って少し明るくなったなぁって思ってたから気になって」
「明るい?あたしが?」
「うん。見た目の印象もだけど、オーラも。前はトゲトゲしていたのに、だいぶ丸くなったよ?」
「そ、そう…?」
そんな風に見られてたんだ。
ていうか、ほとんど絡みがなかったのに言うなんて、第一印象がそうだったんだろうな…。
と思うと、少し落ち込む。
あたし、どれだけ他人に対して壁を作ってるんだろう。
「ねえ、絢。絢は専務と何か関係あるの?」
あたしは絢の質問には答えずに、逆に質問をしてみた。
すると、少し間を置いて、絢は言ったのだった。
「それって、恋愛の意味でって事?」
ここで、“うん”と言えば怪しまれそうだけど、どうしても聞きたかった。
「そう…。だってほら、専務って絢には心を開いているぽいから」
「う~ん。社長秘書で、顔を合わせる機会が多かったからね。話しをする内に仲良くなったのよ」
あたしは毎日顔を合わせているのに、“仲良く”という感じになれないんだけど…。
「好き…になったりしないの?」
緊張をしながら聞くと、絢はキッパリと答えたのだった。
「お互いに恋愛感情はないわよ。関係を持ったりした事もないし」