俺様専務とあたしの関係
それを聞いて、ホッとする気持ち半分と、ショックな気持ちが半分。
やっぱり和久社長の言う通り、絢は大切な女友達なんだわ。
あたしとは存在価値が違う…。
「ねえ、絢。あたし、聞いちゃった。蒼衣さんの話」
「聞いたの!?」
「うん。どうして、そんなに驚くのよ?」
目を丸くする絢に、あたしは不満いっぱいの顔を向けた。
すると、絢は慌てる様に弁解したのだった。
「ごめん、ごめん。ただ、蒼衣さんの話は、章人専務はすごく嫌がるの。だから、よく話してもらえたなと思って」
「え?だって絢は前に、専務には複雑な事情があって、いつかは話してもらえるかもとか言ってたじゃない」
それって、蒼衣さんの事じゃなかったの?
「その話のつもりじゃなかったんだけどね…」
「じゃあ、何の話?」
怪訝な表情のあたしに、絢は少し考え込んだ後、後ろめたそうに話し始めた。
「まぁ、いいかな…。蒼衣さんの話をしたくらいなんだし…」
「だから、何の話よ?」
ちょっとイライラしたあたしに、絢は言ったのだった。
「章人専務と和久社長って、異母兄弟なのよ」
「異母兄弟!?って事は、お母さんが違うって事?」
頷く絢に、あたしは呆気に取られた。
確かに、あまり似てないと思ったのよ。
だけどまさか、お母さんが違うなんて…。
「章人専務のお母さんは、専務を産んですぐに亡くなられたらしいの」