俺様専務とあたしの関係


思ったより早い…。


その気配に、すっかり眠気は飛んでいき、目は閉じつつも章人が来るのを待つ。


お風呂に入る音がするな…。


その後は、少しくらいは飲むかもしれないし。


だとしたら、ここへ来るのは1時間後くらいかも…。


そんな事を考えて時間を過ごしていると、お風呂から出た章人は真っすぐ寝室へ来たのだった。


ふんわりと匂うソープの香り。


そこに章人がいると思うだけで、緊張してしまう。


ドキドキする気持ちを抑えながら、寝たフリをしているあたしは、唇の重なった感触で思わず目を開けた。


「あ、ごめん。起こしたか?」


そこにはベッドの上に座り、顔だけ近付けている章人がいた。


「ううん…。眠れてなかったから」


「何だ、起きてたのかよ」


眉を下げて笑う章人に、あたしは胸がキュンとなる。


寝顔にキスをした…。


あたしの寝顔にキスを…。


「起きてるんなら、もっと甘い事しよう」


そう言って章人は、覆いかぶさりキスをすると、それを首筋へと移動させる。


体をしなやかに触る感触に、あたしの口からは甘い声が漏れた。


「どうしたんだ?美月。今夜はやけに感じてるじゃん」


「やめてよ…。そんな言い方」


感じないわけない。


例え、誰かの代わりだとしても、あたしはあなたに恋をしているから。


こんな風にキスをされて、体に触れられて、そして重なり合えば感じてしまう。


あなた自身を、感じてしまうの…。




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