俺様専務とあたしの関係
会う…?
和久社長と?
「あ、あの…。失礼ですけど、あたしに何のご用件で?」
「うん。ちょっと兄貴の事で相談が」
「専務の事ですか?」
章人と和久社長が異母兄弟という事実を知る前なら、何も考えずに返事をしたと思うけれど…。
どうして、あたしにそんな事を言ってくるのだろう。
不審に思う雰囲気を察したのか、和久社長がわざとらしく明るい声で弁解をした。
「深い意味はないんだよ。ただ、仕事の絡みもあって、美月さんに相談したいんだ」
「仕事の絡み…ですか」
この言葉を信じていいのかどうか…。
なぜだか、不安がよぎりながらも、相手が相手なだけに返事をせざる得なかった。
「分かりました。場所と時間を教えてください」
そう答えると、電話の向こうではホッと安心した声がする。
「ありがとう。じゃあ、仕事が終わったら、こっちの事務所に来てくれるかな?あ、もちろん兄貴には内緒にしておいてね」