俺様専務とあたしの関係
夜、章人の家に戻るのが当たり前になり、仕事で遅い時にはあたしが先に帰っている。
余裕がある時にご飯を作って待っていると、まるで結婚したみたいで幸せな気持ちになったり…。
「結婚ってこんな感じなのかなぁ」
二人で一緒にいる事は今と変わらなくても、心が繋がる感じがする…。
今夜も遅い章人の帰りを待っていると、インターホンが鳴った。
あれ?
お客様?
「いいのかなぁ。あたしが出て…」
壁にかけられたモニターで確認すると、一階の玄関先に女の人が立っていた。
スラッとしたスタイルで、淡いクリーム色の七分袖ニットと、薄いグレーのシフォンスカートを着ている。
クリッとした丸い目に、小さな唇と、肩より上の栗色のボブスタイルが、妙に洗練された女性に見せていた。
「は、はい…。どちらさまでしょうか?」
緊張する声で応答すると、モニターの向こうのその人は、小さく動揺する表情をした。
「あ、あの…。私、早瀬蒼衣といいます。章人さん、いますか?」
「え…?」
蒼衣さん!?
何で彼女が?
一気に鼓動が速くなる胸を、無意識に抑えていた。
「まだ、帰っていないんですが…」
「そうですか…。じゃあ、また来ます」
そう言って帰ろうとする彼女を、あたしは引き留めていた。
「待ってください!すぐに帰ってくると思うので、入って待っていてください」