俺様専務とあたしの関係
「あたしは、章人がどれだけ、蒼衣さんを好きだったか聞いています。あたしと付き合っているのは、前を向いて進みたいから。蒼衣さんを思い出にする為です…」
「美月さん、私があなたにこの話しをしたのは、私の事で悩んで欲しくなかったからです。絶対に、二人の邪魔をする存在になるはずがないって、そう思って欲しかったから」
まるで説得するかの様に、あたしの腕を掴んだ。
「蒼衣さん、本当に忘れられていますか?もう章人を、好きじゃないですか?」
真っ直ぐ見つめると、蒼衣さんはうなだれた。
「好き…。今でも大好きよ。本当は、昔に戻りたいって、そう思ってるの…」
嗚咽を漏らし、泣き崩れる蒼衣さんに、あたしは言った。
「もう一度、ぶつけてみてください。その想いを、章人なら受け止めてくれますから」
だけど、蒼衣さんは頑なに首を横に振り、涙を吹くと立ち上がった。
「もう、何もかも遅いわよ。美月さん、章人が戻ったら、結婚式には来なくていいと伝えてください。だけど、それ以上は伝えないで…」
「蒼衣さん!!」
足早に部屋を出る蒼衣さんの後を、あたしは慌てて追いかける。
だけど、立ち止まる事なくドアを開けると、エレベーターへ乗り込んだのだった。