俺様専務とあたしの関係
あたしは、エレベーターホールに立ち尽くしたまま。
蒼衣さんから聞いた事実は、あまりにも衝撃的で、心の整理がなかなか出来ない。
どれくらい立ち尽くしていたのか、エレベーターの扉が開き、章人が降りてきたのだった。
「あれ?美月、どうしたんだよ?あ!出迎えてくれたのか?」
笑顔の章人は、そのままあたしにキスをしようとした。
だけどあたしは、それを拒否するように顔をそむける。
「美月?」
怪訝な顔の章人に、あたしは震える声で言った。
「さっき、蒼衣さんが来たよ…」
「え?」
一気に顔色を変えた章人は、かなり動揺をしている。
「蒼衣、何かを言ってたか?」
何で、章人ってば、そんなに動揺しているのよ…。
「結婚式に来なくていいって…。それから…」
話さないで欲しいと言われているけれど、あたしは隠せなかった。
二人は今でも好き合っているのに、このまま誤解したままだなんて切ない。
それに何より、章人の心の奥に蒼衣さんがいるまま、あたしと付き合って欲しくなかった。
あたしはあたしの為に、章人に全てを話したのだった。
章人の反応が怖くて、緊張しながら様子を伺っていたけれど、話しを聞き終えた章人は、想像以上に冷静だ。
「それが真実ってやつか。だけど、もうどうにもならないよな…」