俺様専務とあたしの関係


絢は、あたしに少し眉間にシワを寄せた顔を向けている。


「あたしね、まだ強くなれないみたい。どこかで怖いの。章人の気持ちを、信じていないわけじゃない。信じられないのは、あたし自身…」


「美月…。だけど、仕事で毎日顔を合わせるじゃない?どうするの?」


「それは、もう考えてあるから。あたし、もう一度いろいろな事をやり直してみる」


弱々しい笑顔を見せると、絢は何かを言いかけそうになって止めた。


「ガキくさいあたしの事なんて、章人はすぐに忘れちゃうわよ」


気を取り直して、片付けを再開させる。


と言っても、ここにも長くはいないだろうけれど…。


なぜなら、あたしはある決心をしたから。


それは、絢にも内緒。




< 154 / 194 >

この作品をシェア

pagetop