俺様専務とあたしの関係
「はい…」
返事をするのが精一杯のあたし。
「ただ、こうやって仕事では、いいパートナーでいたいから、これからもよろしくな」
その言葉に軽く頷くと、足早に部屋を出た。
泣きそうな気持ちを堪えて、あたしは秘書デスクへ座る。
「ごめんね…」
あたしは、とことんどこまでも、章人との繋がりを断ち切る決心をしたから…。
その約束は、出来ない…。
それから三ヶ月後の人事異動で、あたしは専務秘書職から離れた。
もちろん、それは自分の希望で…。
そしてほぼ同時に、あたしは会社も辞めたのだった。
異動の発表後、血相を変えてあたしの側へ来た章人は、今度こそ怒りに満ちていたけれど、あたしは何も答えなかった。
ただ、全ての事情を知っている社長には事前にお願いをしていて、章人には異動を直前まで伝えない事を図ってもらっていたのだ。
だから、章人には“寝耳に水”だったらしく、かなり動揺していたけれど、あたしはもう変わりたかったから。
あなたの側から、離れようと思ったの。
あなたから貰った手帳とパンプスは、もうあたしの手元にはない。
未練を断ち切る為に…。
全てを手放した。
今度こそ、本当にさようなら。
バイバイ、章人専務。