俺様専務とあたしの関係
そんなあたしとは違って、さすが女慣れしている専務は、何事もないようにイスへ座り直した。
「そうだ。美月、お前手帳持ってるか?」
「は、はい!もちろんです」
やっと、まともな会話が出来そうで、気が引き締まる。
手帳は、当たり前に持参済み。
自分では用意がいい方だと思い、胸を張ったつもりだったけど。
「それってプライベート兼用か?」
専務の言葉で、何かが違うことに気付く。
「いえ…。兼用なんですが…」
マズかった?
怖ず怖ずと返事をしたあたしに、専務はカバンから何かを取り出すと差し出した。
「この手帳、新品だから使え。クライアント情報とか書く様になるから、プライベート兼用じゃ困るんだ」
あ、そうか!
そう言われるとそうだわ。
あたしってば、そこまで気が回っていなかった…。
「す、すいません…」
あ~あ。
初日からコケた気分。
自己嫌悪気味に手帳を受け取った瞬間、あたしはまた固まった。
「この手帳、何ですか!?」
右端には、さすがのあたしでも分かる、超有名なブランドのロゴがあしらえられていた。