俺様専務とあたしの関係
「あれ?美月は、そのブランド知らないのか?」
キョトンとする専務に、あたしは少し興奮気味に答えた。
「知ってます!知ってるから驚いたんです!こんな高価なもの頂けません」
思わず突き返すと、あからさまに嫌そうな顔をされた。
「持っとけって。備品だよ備品。それに貰いもんの手帳だから、気にするな」
貰いもん!?
ますます嫌なんだけど。
まさか、女からの貢ぎ物じゃないでしょうね!?
まじまじと手帳を見つめていると、まるで心を見透かしたかの様に専務が言った。
「直接ブランドから貰ったんだよ。変な物じゃないから、おとなしく使えよ」
“めんどくせぇ”と呟いた専務を、あたしはまた睨みつけると、手帳をそのまま受け取った。
こうなったら、ボロボロになるまで使ってやるから。
「じゃあ、美月。スケジュールや仕事の流れを確認したら、午後から外回りだからな。覚悟しろよ?」
「はい、分かりました。覚悟をします」
またもや、生意気な言い方をしたけれど、もう相手にする事なく、専務は淡々と仕事の説明を始めたのだった。