俺様専務とあたしの関係
あたしが妊娠をしてから、抱きしめる腕が優しくなった。
今日も、そっと包み込んでくれる。
「オレさ、美月の妊娠を知った時、マジで嬉しかったんだ」
「うん…」
そうだよね。
体調の異変を感じて、半信半疑で病院で診てもらったら、妊娠を告げられた。
あの時は、章人に迷惑がられたらどうしようとか考えていたけれど、話をした時は心底喜んでくれたのを覚えている。
「これからは、オレたちの家族を作って幸せになろう。オレは、ずっと美月を愛してるから」
「ありがとう…。章人、あたしね、ずっと伝えたかった想いがあるの」
「想い?」
章人は、あたしを離すと見つめた。
それは、章人と出会えて、愛し合えたからこそ分かった気持ち。
「今まではね、人から愛される事ばかりを望んでいたの」
あたしの言葉を、章人は真剣な表情で聞く。
「だけどね、章人と出会えて愛し合えて、あたしは、自分を愛してくれる人を探してたんじゃないって気付いた」
「どういう意味だ?」
怪訝そうな章人に、あたしは笑顔を返す。
「心から愛せる人を探していたの。あたしは、誰かを愛したかった…」
それが章人なんだよ。
あんなに嫌だと思っていた章人は、あたしの運命の人だった。
「美月、それならオレも一緒だ。美月が愛してくれるから、お前を愛してるんじゃない」
「うん。分かってる。分かってるよ。あたしたちは、同じ気持ちだって事に…」
そしてもう一度、章人の胸に顔を埋める。
「幸せ…。あたし、今でも充分幸せだから…」