俺様専務とあたしの関係
エピローグ


「美月~!オムツ、オムツ!」


「あ、は~い!ちょっと待って」


休日には、バタバタとせわしない足音が響くのが日課になった我が家。


あたしは料理をする手を止めて、キッチンからリビングへと走った。


「はい、オムツ」


「ありがとう。なんか臭いと思ったら、ウンチしてたよ」


ぎこちない手つきで、オムツ替えをする章人に、あたしは笑顔がこぼれる。


「よしよし、今替えてやるから」


あたしは三ヶ月前、無事に男の子を出産した。


立ち会い出産で、仕事をキャンセルしてまで、章人は病院へ駆け付けてくれたのだった。


そんな我が子の誕生に、真辺家では、初孫が跡取り息子という事もあり、大騒ぎで喜んでくれた。


会社関係からも、お祝いの品がたくさん届いたのにはア然としたけれど…。


そういえば、お祝いの山を見て、相変わらず和久社長は余計な事を言ってたなぁ。


“兄貴の息子だよ?次世代の社長かもしれないお世継ぎの誕生だ。そりゃ、みんなも媚びを売るよ”


って。


ったく、思い出しても少しムカつくわね。


きっと、みんな純粋な気持ちでお祝いをしてくれたのよ。


あたしは、再びキッチンへ戻り、料理を再開する。


とその時、秀二さんから章人宛てにメールが届いた事を思い出した。


「あっ、そういえば秀二さんからのメール、何だったの?」


リビングでオムツ替え真っ最中の章人に、あたしは大きな声で聞いた。




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