俺様専務とあたしの関係
“専務の秘書”
それはつまり取締役の秘書をするわけで、聞く人から聞けば、華やかに思えるかもしれない。
だけど、あたしは断れるものなら断りたかった。
だって、その専務って社内でも有名な“俺様専務”なのに…。
あたし、佐倉美月(みつき)25歳が勤める大手電機メーカーは、国内外に100拠点の支店を持つ大企業だ。
その本社での総務部で3年、あたしは地道にコツコツと頑張ってきた。
華やかな都心のオフィス街に建っているモダンな30階立ての自社ビルには、他の企業も入っており、そこの社員と恋に落ちる女の子もいれば、“女子会”と称してショッピングにグルメと、毎日を満喫しているグループもある。
一歩ビルを出れば、そこはオシャレなストリート。
有名ショップやレストランなどが並んでいるのだから、それも当然なのだけど…。
そんな誘惑たっぷりの環境で、あたしはひたすら地道に仕事を頑張っていた。
恋も女子会も無縁だけれど、それでもそれを“羨ましい”と思う気持ちを封印し、ただ頑張ってきただけなのに…。