俺様専務とあたしの関係
社長室は最上階にあり、エレベーターで向かう。
こんな時にも、ボタンを押して扉を開けてくれるのは専務だった。
「あの…、あたしがやりますから」
さすがに気が引けてしまい、エレベーターに乗り込んだあたしは専務に言ったのだった。
誰もいないエレベーター。
二人きりなのが妙に緊張する。
密室に入って気が付いたけれど、専務からほんのり甘い香りが漂ってくる。
厭味のない上品な香りが…。
きっと、高い香水なんだろうな。
その匂いに気分が軽く酔った時、
「お前は召し使いじゃないんだから、ドアを開けるとかしなくていいんだよ」
そう言って、出会って初めて、専務はあたしに優しい笑顔を向けたのだった。
それは不覚にも、胸がキュンとするもので、あたしはエレベーターの扉が開くまでの数十秒、その笑顔に見とれていたのだった。