俺様専務とあたしの関係
社長室は専務室と間取りは一緒で、同じく明るい陽射しを背に、社長はイスから立ち上がり、穏やかな笑顔であたしたちを見た。
50代の社長は、ほどよく出来たシワに年齢の割にはガッシリとした体格で、年相応の色気がある。
専務は、完全に父親似で、社長もハッキリとした派手な顔立ちだった。
「ああ、よろしく。帰国早々大変だが、頑張れよ章人」
「サンキュ。昼からは、さっそく取引先に挨拶に行くよ」
って、それにしても、社長相手にノリが軽すぎない!?
いくら父親だからって…。
すっかり呆気に取られたあたしに、社長は目を向けたのだった。
「きみが秘書の佐倉美月さんか」
「は、はい!まだまだ未熟者ですが、一生懸命頑張りますので、よろしくお願いします!」
思い切り頭を下げると、高らかな笑い声が聞こえてきた。
「アッハッハ!本当に、一条の言う通りに真面目な子なんだな」
ゆっくり顔を上げると、社長が顔をくしゃくしゃにして笑っていた。
「でしょ?社長。美月は同期の中でも一番の努力家なんです。だから、私が推薦した理由、分かったでしょ?」
得意げにそう言う絢は、あたしをチラッと見ると、軽く微笑んだ。
本当に、絢が推薦しただなんて。
それに、あたしをそんな風に思ってくれていたのが嬉しい。
「どうだ?章人。仲良くやれそうか?」
社長の言葉に、思わず固まる。