俺様専務とあたしの関係
同棲!?
…専務秘書になって一週間。
キスから始まったこの非常識な関係は、今日まで仕事の忙しさで、すっかりなかった出来事になっている。
連日の会議と出張で、あたしは専務と業務以外の会話をしていないからだ。
帰りも、もちろん別々。
というか、接待が続いていて、呼ばれていないあたしは、業務終了後に解放されている。
そんな一週間に、ホッとする自分がいた。
深入りするのは、さすがに怖いから。
「美月、何だか感じが変わったね?」
絢の鋭い突っ込みに、持っているお盆を落としそうになる。
今朝は役員会議で、社長も出席。
だから、初めて絢と仕事をする事になったのだ。
まあ…、お茶くみだけど。
「そ、そうかな?」
「うん。なんて言うか…、トゲが取れた感じ?」
お茶を入れながら、絢はしみじみと言う。
見た目が変わっただけで、こんな風に思われるのかぁ。
「何かあった?」
「えっ!?ううん!何もないわよ」
怪しむ絢より先を歩き、あたしは会議室へ向かった。
絢ってば、鋭そうだもんな。
気をつけなきゃ。
専務とキスをした事なんて、忘れたいのに…。