俺様専務とあたしの関係
「…という事で、本日のスケジュールは終了です。お疲れ様でした」
「ああ、お疲れ」
すっかり外が暗くなった頃、今日もなんとか無事に業務は終了した。
さすがの専務も疲れたのか、深くイスに座ると少しネクタイを緩める。
「それでは専務、あたしは明日の準備が出来次第、失礼させて頂きます」
毎度の機械的な口調でそう言って、専務室を出ようとした時、
「待てよ、美月」
立ち上がった専務に、あたしは腕を掴まれた。
「な、何ですか?」
さっきまで疲れきった顔をしていたくせに、今はニヤけた顔であたしを見ている。
「お前、今朝の会議のセリフ。あれ、キスの事だろ?」
「えっ!?」
何で分かったの!?
「やっぱりなぁ。ふ~ん。そんなに忘れられなかった?オレとのキス」
「何、意味不明な事を言ってるんですか!?」
何をどうやって考えたら、そんな思考回路になるんだろう。
「意味不明なのはお前だろ?あんな場所で口に出して、何を考えてんだよ」
「あ、あれは、キスそのものを思い出してたんじゃないんです!誰にも知られたくないって、思ってただけなんですから」
専務とのキスなんて…。
「むしろ、忘れたいくらいです!」