俺様専務とあたしの関係
「い、いや…」
体を押し返そうにも、専務が力強く抱きしめていて、自分の体が動かない。
そんなまさに“無駄な抵抗”をしている間にも、専務はあたしに舌を絡ませてくる。
まただ…。
甘い香りとタバコの匂いがする…。
その匂いが、あたしを狂わせてきた。
初めてのキスの時も、同じ匂いがしたんだ。
ううん違う。
“味”だ。
あたしも、遊びに使われる情けない女の一人になっちゃう。
そう思うのに、分かっているのに…。
だんだんと心は、素直に反応し始めた。
「美月、お前キスがうまくなったじゃん」
「変な事、言わないでください」
お互い、呼吸が荒くなりながら見つめ合う目は、すでに理性がなくなっている。
「美月、もっとキスをしよう。オレはしたい…」
「はい…」
バカなあたし。
一番嫌いなタイプの人に対して、一番嫌いなタイプの女になってどうすんのよ。
ここは強く突き放すのが、あたしらしいんじゃない。
だけど、心の中のあたしの叫びもここまでだった。
気が付くと、専務に抱きしめられたまま、あたしたちはしばらくキスを続けていた。
いやらしいくらいの、呼吸音とキスの音を響かせて…。