俺様専務とあたしの関係


あたしの住んでいるアパートは、二階建ての築15年の1LDK。


8部屋あり、知っている限りでは、みんな一人暮らしだ。


大学生から社会人まで様々で、彼氏や彼女らしき人を連れ込む姿も見た事がある。


特にセキュリティーがしっかりしているという事もなく、中心地からほどよく離れた昔ながらの住宅街に建っていた。


あたしの部屋は2階の一番端。階段を上がってすぐの部屋だ。


「ん…?」


いつもの様に、鍵穴に鍵を差し込もうとした時に異変に気付いた。


「何…、これ」


ドアノブ自体が半分えぐられている。


何か、機械の様な物でえぐったのかは分からないけれど…。


かなりら乱暴な感じだ。


ドクドクと緊張の鼓動がしてくる中、ゆっくりドアを開け、覗き込む様に部屋を見ると、


「えっ!?」


室内には、服や下着が乱雑に散らばっていて、唯一ある4段の白いチェストの引き出しが、全部開けられていた。


「や…、やだ…。何よこれ…」


急いでドアを閉めると、震える手で携帯を取り出す。


とにかく…、連絡しなくちゃ。


本来なら、真っ先に警察に電話をしないといけないのに、完全にパニックになったあたしは、ついさっき登録したばかりの専務にかけていたのだった。




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