俺様専務とあたしの関係
電話が切れてから15分後、専務はあたしの家に来てくれた。
どこにいたのかは分からないけれど、かなりのスピードで車がやって来たのを見ると、急いでくれたんだと分かって、あたしの胸はキュンとした。
「美月!大丈夫か!?」
階段を駆け上がると、すぐにあたしを抱きしめてくれたのだった。
たった一度、初めて会った夜に送ってくれただけなのに、家を覚えていてくれて嬉しい…。
すっかりホッとしたあたしは、専務の胸に顔を埋める。
そしてそれからすぐ、専務は警察とアパートの管理会社に電話をしてくれたのだった。
この行動力、さすがだな…。
やっぱり、若くして専務になれるだけあるわ。
どうやら、警察の見立てでは、近所で連続して起きている下着泥棒だろうとの事。
ただ、やり口がエスカレートしているから、これからも注意をした方がいいと言われたのだった。
「やっぱり、女の一人暮らしは物騒だな?」
一段落着き、やっと落ち着いてきた頃、専務はあたしの顔を見ると言った。
「はい…」
鍵の修理はすぐに出来ないみたいだし、今夜はどうしよう…。
そんな心配を抱えつつ、専務を巻き添えにした事に、申し訳なさが募ってくる。
「あの、専務。本当にありがとうございました。もう大丈夫ですから」
あたしは素直に頭を下げた。
もう帰ってもらわなきゃ。