俺様専務とあたしの関係
ただでさえ、誰かと一緒の所を邪魔したのだから…。
そう思って言ったのだけれど、専務は明らかに不満そうな顔をした。
「大丈夫って、鍵もかからない部屋に戻るのか?」
「それは…。あっ、ホテルに泊まるので大丈夫です」
そうよ。
落ち着くまで、どこかホテルにでも行こう。
その後の事は、ゆっくり考えればいいし…。
納得してもらうつもりが、ますます専務の表情は険しくなった。
何で、怒ってるのよ。
意味が分からないんだけど…。
戸惑うあたしに、専務はとんでもない事を言ったのだった。
「ホテルなんて不経済だろ?なあ、オレの家に来ないか?」
「えっ!?」
その言葉に、この瞬間まであった恐怖や心細さは、どこかへ吹っ飛んでしまった。
「専務の家ですか…?」
呆気に取られるあたしに、専務は“当たり前だろう”と言わんばかりに頷く。
「どうせ一緒に仕事するんだし、オレの家から通えば効率的じゃないか」
「ええ~!?」
思わず叫び声を上げてしまい、専務に手で口を押さえられた。
「静かにしろよ!また何かあったと思われるだろ?いいから、さっさと荷物まとめて来い!」