俺様専務とあたしの関係
認めたくない気持ち
「おはよう、美月」
朝日の眩しさより先に、専務の優しい声で目が覚める。
「う…ん…。おはようございます…」
まだまだ重たいまぶたが半分開いた時、専務の唇があたしに重なった。
「ん…。まだ…、眠たいです…」
「すぐに眠気なんて吹っ飛ぶよ」
チラッと確認した時計では、いつもより1時間早い。
専務ってば、まさかヤリたいだけに早起きしたのかしら?
夜と変わらない優しいキスに身を任せていると、言われた通り眠気は飛んでいく。
それまでは、半分夢心地だったあたしも、いつの間にか甘い声が漏れていた。
「美月、ゆうべ何で泣いてたんだ?」
「え…?」
専務は体を重ねたまま、あたしにそんな事を聞いてきた。
「な、何でもないんです。だから、気にしないでください」
あたしはほとんど何も考えられないのに、なんで冷静になれるんだろう…。
こんな時ですら、余裕があるのは、やっぱりあたしを本気で抱いていないから?
そう思っていたのに、専務の次の言葉で、あたしは重なり合う体を離せなくなってしまった。
「こうやって抱く事で、少しでも美月の寂しさを埋められるなら…」
「章人専務…」
あたしは専務を抱きしめながら、今までにないくらいの甘い声を出す。
きっと、何かに気付いてる。
専務は、あたしの何かに気付いてる…。
どうして、分かったの?