俺様専務とあたしの関係
「おはようございます専務」
「おはよう」
「きゃ~!今朝は専務と挨拶しちゃっちゃった。カッコイイ~」
どこかの部署の女性社員が、興奮気味に会話をしているのが聞こえてきた。
だけどそんな会話を気にする様子もなく、章人は普段通りの涼しい顔でエレベーターに乗り込む。
いつもなら、他の人にも乗って欲しいと思うのに、今日は二人きりで良かったって思う自分がいた。
「章人専務、やっぱりモテるんですね?」
からかうように言うと、章人は小さく微笑んだ。
「会社のエレベーターじゃ、美月にキスできないな?」
「えっ!?もう。社内で変な事を言わないでください」
さすがに恥ずかしくて、誤魔化す様に手に持っていたスケジュール帳をめくった。
これは、初日に章人から貰ったスケジュール帳。
高級ブランド物だけに、使うたびに緊張をする。
ゆっくりめくるあたしの姿を、章人は見ながら言ったのだった。
「来年、そのレフィルをプレゼントするから」
「今から来年の話なんて早いですよ」
手帳を閉じ思わず笑ったあたしに、
「来年も、美月はオレの側に居てくれるだろ?」
章人は穏やかに、でも真剣に言った。
と、ちょうどその時エレベーターが開き、あたしは返事が出来ないまま。
それでも、答えたくて口を開きかけた時、
「兄貴!美月さん!」
和久社長が声をかけてきた。
「和久!?お前、何でここに!?」