俺様専務とあたしの関係
「慰め…」
口に出すとその言葉は、重く心にのしかかる。
「絢さんはね、兄貴にとっては数少ない女友達で、だから彼女には手を出していないんだ。美月さんとも、そんな風になるのかな?」
「どうですかね…」
笑顔がひきつりそう。
絢が章人を信用している感じはしていたけれど、そんな風に大事にされているんなら思えるわね。
じゃあ、あたしは?
当たり前の様に、毎日抱かれているあたしは…?
和久社長の言うように、ただの慰めなんだわ。
「美月さん、絶対に兄貴に流されちゃダメだよ?家も早く出て行った方がいい」
「はい…。そうします」
朝、エレベーターの中で章人から問い掛けられた応え、言えなくて良かった。
“来年もオレの側にいてくれるだろ?”
あの言葉に、想いはない。
ただの慰めが欲しいなら、他の誰かに頼んでよね…。
和久社長は、「また会おうね」と、連絡先を置いて帰ったのだった。
今夜、言おう…。
“お世話になりました”って。
ずっと引っ掛かっていたのもウソじゃない。
このまま、こんな関係を続けていっていいのかって…。
今日は、その答えを出すいいチャンスだったんだ。