Dead line−死線−

 風呂からあがった優香は

少し火照った体で勉強していた…

机に向かい

ひたすら数学の問題を解いていた

優香は楓と違ってできがよく

頭がよかった

楓にはいつも勉強を教えている

テストが近い日は泊まり込んで勉強を教えたりしていた

優香が勉強する目的は

今は

楓に教えてあげたいから

というなんともあきれる理由だった…

交際していることは

両親のどちらも知っている

よくドラマなんかであるように

父親が反対していた

理由は

相手の経済面だった

いつもいつも

お金のどうのこうの言ってる父親だから

仕方ない気もする

でも母親は違った…

母親はいつも二人の仲を気遣ってくれて

何をするにしても

応援してくる頼もしい母だった

優香の両親はまるで父と母が逆転しているようにも見えてくる

ちょっと一風変わった夫婦だった

優香は母の優しさが大好きだった

優香が宿題を終えると間もなくして

「優香ぁ~ごはんよ~」

と母の声がした

いつもの美味しそうな匂いが漂ってきた

『今日はなにかなぁ』

と気分をはずませて

階段を下っていった…

「いただきます。」

優香と母親が口を揃えて言うが父親は口を開かない…

「あなた、最近なんか悪いことでもあったの?」

母親が問う

父はサラダをつまみながら

「別に…」

と言うだけだった…

すると母が何かに気づいたのか

「優香、しあさってはどうするの?」

と聞いた

父親の体がピクッと動いた

すると優香は

「家に来てもらっちゃダメかな?」

と父親をチラッと見ながらいった

すると間もなく父が

「何の話だ?」

と怖い顔で聞いてくる

すると母が仕方なさそうに…

「優香がね、楓君ともうすぐ二年になるから家に招待しようってことになったのよ」

すると父は

「呼ぶのは勝手にしろ、ただしワシはおらんからな」

と強くきっぱりと言い張った。

母親は呆れた顔でわかりましたとひとこと言った…

重い空気の中食事は終わり…

父が部屋に戻ったところで

母が優香に切り出した

「ごめんね優香…」

「いいよ別に気にしてなんかないから…」

そう言って優香は部屋に戻りベッドの中に入り

楓にメールを送った…

三日後楽しみだね…



気づくと優香は深い眠りについていた…

優香が消える二日前の出来事だった… 
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