『短編』しあわせの条件
「おはようございますぅ、じゃないわよ!なんで?なんでわたし平木くんといるわけ?」
「え?覚えてないんですか?」
その問いに、思考が鈍っている頭をフル回転させ、昨日まで巻き戻した。
そう、わたしは昨日いつものバーにいた。
マスターに課長のことを愚痴ってて、カクテル飲んで――……
ない。
その辺りから、記憶がまったくない!!
「先輩、完全に酔っ払ってて、駅の近くの公園で寝てたんですよ。で、なんとか起こしたんですけど……」
平木くんが、言いよどむので思わず固唾を飲んでしまった。
「……けど?」
「帰りたくないって言って、聞いてくれなくて……。仕方なく、僕んちに来てもらいました……」
平木くんは気まずそうに俯いている。
「そこまでは、ありがとう。助けてくれたのね。だけどよ。だけど、なんで、その、こうなっちゃってるのよ!」
わたしは布団を強く握りしめた。
すると、平木くんは更に言いにくそうに俯き。