『短編』しあわせの条件
平木くんの冷静な言葉に、何も反論できなかった。
「僕は、何があっても先輩を離したりはしません」
その言葉を聞いた途端、体中が熱くなった。
こんな温かい気持ちになれたのって、いつぶりだろう。
涙が溢れて止まらない。
わたしは。
見失っていた?
「結婚」ばかりを考えて、本当に大切なものを。
平木くんがそっと手を伸ばし、わたしの涙を拭ってくれた。
彼の手が温かくて、わたしはその場から動けなかった。
彼はわたしを引き寄せ、ぎゅっと抱きしめた。
そして、情熱的なキスをわたしに教えてくれた。