『短編』しあわせの条件
「ほんっと、いい人つかまえたよねぇ、未知は」
同僚の美緒は、社員食堂のランチを食べながらしみじみ言う。
「婚活励みましたからね」
「婚活と言う名の合コンでしょ」
「そうとも言いますね」
メロンパンをぱくりと頬張る。
「あんたさ、玉の輿に乗るんだからメロンパンなんて食べてないで、もっといい物食べなさいよ」
「玉の輿に乗るから、メロンパンなのよ」
「はぁ?」
「トオルさんに釣り合う洋服とか、買いたいじゃない」
「そんなの、『この服かわい~』とかなんとか言って買ってもらったらいいじゃないの。トオルさんだったら喜んで買ってくれるでしょうよ」