『短編』しあわせの条件
ランチを終えてオフィスへ戻ると、今日も平木くんは机に突っ伏していた。
彼の隣りの自分の席に座り、ちらりと彼を見ると、やはり今日も寝癖が直っていなかった。
仕事もできるし、優しいし、ルックスだって決して悪くはないのに、なぜこの後輩くんはあまり格好を構わないんだろう。
せめて人並みに身だしなみを整えれば、もっとモテるだろうに。
なんとなくそんなことを考えていた時。
「……メロンパン」
突然、平木くんが突っ伏したまま呟いたのでびくっとした。
「え?」
「今日もメロンパン食べたんですか?」
突然がばりと身を起こし、ぼんやりした目でわたしを見つめるので、ちょっと怖いと思った。
「な、なんで?」
「あ、図星だ」
「は?」
「先輩、図星の時はどもるから」