コトバナ屋~お求めの言葉は何ですか?~
黒髪の少女は魔法を使う。
「ここはマミィのダディ・・・・
つまりじっちゃが作ったお店でね、
口下手で気持ちを伝えることが
苦手だったから、同じ思いで
苦しむヒトの手助けをするために
作ったんだって」
一つしかない机を挟んで
向かいに座ったコトハが、
クッキーを囓りながら説明してくれた。
どこからか持ってきてもらった
パイプ椅子に腰を落ち着けた俺は
「へぇ・・・・」と言う生返事しか
できなかったけど。
だっていきなり魔女だの喋る猫だの、
誰かに話したら頭の心配されちまうよ。
ボンヤリと現実逃避しながら
何かのハーブティを飲んでいると、
ペシリと手の甲を叩かれた。
見ると、コトハの隣で
ミルクを飲んでいたはずの
フィラムが不機嫌そうに
こちらを見上げていた。
フーッ!
――ちょっと、
ちゃんとコトハの話を聞きなさいよ!
あんたのために説明してるのに。
・・・・・ちゃんと聞いてるって。
精神衛生上信じたくないだけで。