コトバナ屋~お求めの言葉は何ですか?~
「だから、さ。おにーさん、
おねーさんと別れる前に
自分の気持ちをぶつけてごらんよ。
嘆いて悲しんで燃え尽きるのは
やることやってからでも遅くないよ?」
フィラムのに続けて言われた
コトハの言葉に、
背中を叩かれたような気がした。
俺は口下手だから、
会っても気の利いた言葉は言えない。
それなら、
言葉を花にして伝えてみようか。
女々しいことだが、
正直な気持ちを彼女に伝えてみたい。
「――コトハ。俺に“言葉”をくれ」
そう言った俺を見て、
コトハはニカッと笑った。
「承りました。んじゃ、始めようか」
そう言いながら残ったクッキーを
口に詰め込んだコトハは、
椅子を傾けて机の引き出しから
平たい器を二つと、
ガラスの瓶、
そして銀色の水差しを取り出した。