コトバナ屋~お求めの言葉は何ですか?~
「これはね、乾燥させた薮蘭の実と、
ヒマラヤ雪の下の花びらを混ぜた
特製パウダーを振りかけた蜘蛛の糸で
水晶の欠片をくるんだ“種”だよ」
コトハは瓶を傾けて器の一つに
ザザーッと中身を出すと、
掌に一粒乗せてこちらに見せてくれた。
直径2ミリほどの大きさで、
光沢のある淡いピンクは透明感があり、
透き通って見える。
「薮蘭(やぶらん)の別名はやますげ。
日本と中国が原産の多年草で
英名big blue lily turf。
んで、ヒマラヤ雪の下は
おおいわうちわって言う別名を持つ
ヒマラヤが原産の多年草。
英名bergenia stracheyi。
それぞれの花言葉は“隠された心”
そして“秘めた感情”」
すらすらと花の説明をしながら、
種を器に戻すと、
ズイッと俺の前に押し出す。