コトバナ屋~お求めの言葉は何ですか?~
「種に手を押し当てて。
気持ちに反応して、
言葉になりたい種が掌に
くっついてくるから」
言われるままに掌を押し当て、
そっと掌を持ち上げる。
すると、濡れてもないのに掌に
いくつかの種が付いていた。
コトハは手を伸ばしてその種を受け取ると、
もう一つの器に入れ、
銀色の水差しを持ち上げた。
「こっちは、
はなびしそうに溜まった朝露に
れんぎょうの蜜を混ぜて、
月光に当てて作った薬を、
ヒソップで完全に浄化した水で割ったもの」
パカリと蓋を開けられた水差しから、
爽やかなミントのような香りがした。
そう言うと、
コトハは嬉しそうにコクリと頷き、
説明を始めた。