コトバナ屋~お求めの言葉は何ですか?~
「男は態度で示せばいいと思ってるのかも
知れないけど、一度でも好きって
言われたことがなければ不安になるの、
今日こそはきっとって思っていたのに・・・・
もう、あんたなんか知らない!
誰にも理解されずに生きていけばいいのよ!」
一方的に言葉を投げつけ、
憤まんやるかたないといった様子で
駅に向かうカンナの背中を見つめ、
近くのベンチに座り込んだ。
もともと口下手で
気持ちを伝えることが苦手な俺は、
確かにはっきりと好きと言ったことはない。
でも、それをカバーするように
態度で示してきたはずだ。
彼女もそれを理解していたから、
今まで付き合い続けることが
出来たんだと思っていた。
――誰にも理解されずに生きていけばいいのよ!
小さい頃から口下手だった俺は、
親にさえ自分の気持ちを理解されなくて
つらい思いを何度もしてきた。
だから、去り際に言われた言葉は、
正直かなりぐさっと来た。
思わず視線を下げてため息を吐く。