コトバナ屋~お求めの言葉は何ですか?~
「こんばんは。
おねーさん、カンナさんで合ってる?」
「どうして私の名前・・・・」
近くで見ると、その子は女の子だった。
その子は肩に乗せた黒猫と
おそろいの緑の目を輝かせ、
自己紹介を始めた。
「ボクはコトバナ屋のコトハ。
んで、こっちは親友のフィラム。
カドマっつーおにーさんに依頼されて、
言葉を届けにやって来やした」
「カドマから?」
「うん。はい、これ」
差し出されたのは、
赤い色を基調とした花束だった。
思わず受け取ると、
指の先からフワンと温かくなった。
「綺麗な花・・・・」
「これね、おにーさんがおねーさんの事を
思い浮かべながら出した花だよ」
「は、出した?」
「うん。おにーさん凄いね。
すっごく熱烈な言葉ばっかり
出てきたんだもん」
ねーと黒猫に話しかけながら
近づいたコトハちゃんは、
ニコニコしながら花の説明を始めた。