コトバナ屋~お求めの言葉は何ですか?~
「愛を告白する少女のような可憐な趣から
“I love you”かぁ・・・・
乙女チックだねぇ」
フワフワと風に揺られて飛んでゆく
紫の花を見送りながら立ち上がり、
足場の悪い柵の上でグッと背を伸ばす。
「確かにあの花を入れておけば、
渡した時点でおにーさんの気持ちは
伝わっていた。
でもさ、あの言葉だけは
本人の口から伝えなくちゃいけない」
そう言いながら、
肩に乗せていた私をそっと持ち上げ、
目を合わせながらコトハは微笑んだ。
いつも浮かべている無邪気な笑みではなく、
長い人生を生きてきて・・・・
何もかも見通したような、透明な微笑み。