コトバナ屋~お求めの言葉は何ですか?~
十五、六歳くらいだろうか。
黒いシャツに、
ジーンズのオーバーオールを着ている、
あどけなさの残る顔をした女の子だ。
長い黒髪を赤い紐でしばり、
まるで尻尾のように背中に流している。
「・・・・さっきの黒猫?」
黒い髪から覗く緑の目と目が合い、
思わず呟く。
「ん~?一応生まれた時から人間だよ。
ね、フィラム」
意見を求めるように横を向いた先には、
俺をここまで案内した黒猫がいた。
黒猫は肯定するようにニャァと鳴き、
顔を洗い始める。