【短篇】君ともっと。
あれは、小学5年生の春。


近所に引越してきた咲は、その独特な喋り方ですぐにクラスにも馴染んだ。


俺は、咲のサバサバした性格に惹かれた。


近所だったから、よく遊んだ。


中学に上がれば、意識してしまって話す機会は減ってしまったけど、咲を好きってことは変わらなかった。


俺は、中学の卒業式の日駄目元で告白したら「…ウチも好き…」なんて可愛くOKしてくれたのに…。


今の現実はなんですか?

ああ…。


「ちょっと、十馬。何うなだれてんの??
あっ。プレゼント代。」

咲は手を出す。


俺は、咲にお金を手渡した。


「ありがと。今日は、夕飯ほんまに食べてっていいん??ウチ、もう家に言うてきてんけど。」


咲の大きな目が、俺を見つめる。


ああ…。


可愛い。


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