偽恋
美姫を教室まで送った後



俺は美姫の１組から少しはなれた自分のクラスの５組へと向かった。



『ガラ』


「きゃっ!池上君だ～」
「めちゃカッコイイ～!!」
「綾花ちゃんってば羨ましいよね～!」


教室に入ったとたん、そんな他愛もない会話が耳に入っただけで


さっきまでの俺の穏やかさは飛んでった。



...あぁ、うぜぇ。



朝っぱらから人の噂ばっかしやがって。


どんだけ暇なんだよ、っつぅか噂される人の身にでもなってみろっての。



俺はイライラしながら席に着いた。



すると...


「おはよっ優斗くん」


顔を伏せたの耳元でまだ幼さ残るやけに高いそんな声が聞こえたから


俺は重い頭をあげた。


「あぁ...はよ」


隣の席のやけに話しかけてくるこの女は

-宇佐美　綾花。


茶色いロングヘアーに茶色い瞳。

白い肌,美姫まではいかないが小柄で細い体型。


色素が全体的に薄くて


言われなければハーフって勘違いする人がほとんどだろう。



実際俺もその中の1人で、初めて見たとき


外国人だから日本語苦手で大人しいから


楽とか勝手に勘違いしてたら


...よく話すし、よく笑うし...


正反対でがっくり肩を落とした俺がいた。



まぁこの容姿で、学年トップ５には入る頭脳を持ってて


中学時代はバドミントン部のエースとか聞いたから...


かなりモテるらしい。



俺は全く興味ないけど。








そしてだるい俺はもう1度顔を伏せようとしたとき


「ねぇ美姫ちゃんってさ!」


よりにもよって、アイツの名前が出たから


俺は顔を下げるにも下げられなくなった。



「美姫ちゃんって、どんなこ?」


...はぁ?


んなもん自分で確かめろや。


と言おうとしたけど...


俺はためらった。





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