If -転生-


教壇で司教が教えをとなえ、壇上で聖歌がうたわれる

彼がいうには、世界には貧しい人々がたくさんいて、今も飢えや病気に苦しみ、死んでいく尊い命があるという

生徒たちはみな話に聞き入り、瞳を潤わせながらも真剣な眼差しで司教をみつめていた



………馬鹿らしい



本当に馬鹿らしい

飢えに苦しんでいる人々がいるのは本当のことだ
それを伝えることも大切なことだろう

しかし、偉そうに教えを語り、自分は綺麗な衣を纏って裕福な暮らしをするなんて矛盾している

厳しい現状を語っても、自分の富を失うことを恐れてなにもしない


そんな人間が司教をやっているなんて



閉じていた目を少し開き、司教を睨み付ける



そんな様子を横目で見ていた少女がいたことに、まだ瑞希は気づいていなかった
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