I
空はもう暗くなっていた。
制服が黒い私は、空と同色だ。
「志津、ごめんね、こんなに遅くまで連れ回して。」
「いいえ、とても楽しかった。こちらこそ、ありがとう」
誰も居ない、静かな道路の脇を二人で歩く。
時刻は七時を過ぎていた。
「志津は、綺麗だね」
「え?」
「高校生には、見えないよ。また一緒にお茶してくれる?」
どきりと心臓が高鳴った。
やめろ私、軽率すぎる。
「はい」
心で項垂れた。
どうも私は、この人に弱いらしい。