I



ふわり、と首元が軽くなった。


いつの間にか悠は私の目の前に居て、いつの間にか、私の制服のリボンを手に取っていた。


「・・・・・・ゆ、う?」


悠は真っ赤なリボンをほどいて、するりと襟から抜き出す。

それを指に絡めて、私に妖しく笑って見せた。



「俺はね、夜が大好きなんだ。自分を隠してくれるみたいで」


「よ、る・・・・・・・?」


悠からリボンを奪い取ろうとする。

が、優しくそれを阻まれてしまった。



「・・・・・・志津は、覚えてないんだね」


目を見開いた。


悠と私は初対面なんかじゃなかった!



「何で、それ・・・・・・を?」


悠は哀しげに笑った。

心臓がきり、と傷む。




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