I
「・・・・・思い出したい?俺を・・・・・」
悠は私に背を向けて、リボンを奪ったまま歩き始めた。
「まって・・・・」
その背中を追う。
「志津の中の俺を、思い出したい?」
ちらりと悠は振り返った。
白い肌が、月に照らされる。
「・・・・・・私は、忘れているの?貴方を・・・」
「そうだよ」
「・・・・何で?」
「それは、俺も聞きたいよ」
悠は困ったように微笑んだ。
「悠を、思い出したい・・・・・・・」
私は、溢すように漏らしていた。
その瞬間に、悠は今まで見せた事がないくらい、妖しく笑った。