I
「志津はね、ゴールデンウィークの期間のことと、俺のこと・・・・・・・、他にもまだあるかもしれないけど、忘れているんだ」
悠が一歩私に近付く。
心臓がうるさい。
「何が、あったの・・・・・・・・?」
「それは、俺の口からは言わない。言いいたくない、からね」
「・・・何で、悠はそんな哀しそうな顔をするの?」
思わず、悠の頬を指で触れた。
「哀しいからだよ、志津が全部忘れたから」
首をかき抱くようにして、私は悠に抱き寄せられた。
まるで、息をするみたいに自然に、私と悠はキスをする。
毒でも口に含んでいたんじゃないか。
私はそう思った。
「ん、・・・・・・」
「ねぇ、しづ・・・・・・・・・・」
私はあんなに警戒していた体を悠に預けて、いつの間にか悠の手に抱き抱えられていた。
「ゆう、は・・・・私、の・・・・・・」
月が私達私たちを優しく照らした。