I
◆1
リボン
◇ ◇ ◇
はぁ、と私は溜め息をついた。
学校の教材が入った重たい鞄を肩に提げながら、その足を踏み出す。
胸元まで伸ばした黒髪が、靡いた。
(・・・・・・・・・退屈)
ぼんやりとそんな二文字が頭に浮かびながら、アスファルトを睨み付ける。
と、そこで背中を叩かれた。
「志津。一緒に帰ろ!」
後ろに首を曲げる。
そこに立っていたのは、同じ真っ黒な制服を着ている、友人だった。
「・・・うん、いいわよ」
その友人に快い笑顔を返しながら、私は友人と並ぶ。
友人は明るく笑った。