I
「今は、俺だけを見てて・・・・・・」
「・・・・・・・・・・っ、!」
そう言われたと同じくらいに、私は全身の力が抜けた。
「一回休む?」
息を吐いた。
心臓が高ぶる。
「・・・・・・あか、が見えた・・・・・・・」
悠の顔を凝視した。
「・・・・・・赤・・・・・・・?」
「そう、赤・・・・・・・・」
悠は笑った。
「断片的な記憶だね。そうだよ、志津は“赤”を見た」
「っあ、・・・・・・・・」
ぐい、と悠が私の足を掴んだ。