I
「志津、先に帰っちゃうんだもん!探したよ」
「あぁ、ごめんなさい。ぼーっとしてて」
「志津らしいなぁ!」
私の名前は、
神崎 志津(カンザキ シヅ)。
この名前が名前、と言う感情も無く、ただ皆から呼ばれているからそう感じるだけ。
名前なんて名称みたいなものだから。
「ねぇ志津、何か変わったぁ?」
「は?」
「いや、雰囲気が変わってたから・・・メイクでも変えたのかなぁって」
無鉄砲な友人が私の顔を覗き込む。
「・・・・いえ、何も変わってないはずよ・・・?」
「そっか、じゃあ私の勘違いだねー!ゴールデンウィーク、何したぁ?」
友人は無邪気に続けた。
彼女のこう言う所が嫌いじゃない、と何となく感じた。