I
「あ、そろそろお昼寝時間が終わるわ。じゃあ、私はいつでも待ってるから、また来なさい!今度は園の子たちが居る時に来てね!」
「あ、はい。また来ます。ありがとうございました」
おばさんが笑顔で見送ってくれる。
それに応えながら、私は園から出た。
生暖かい風が吹き抜ける。
私は考えに浸った。
私に、何があったんだ・・・・・・・・・?
愛し合ってたはずの“悠”と、正体不明の“親”。
私は、何でそんな重要なことを忘れたの・・・・?
自分の過去が、思い出せない。
自分が何者だったのかも、分からない。
「・・・・・・・っ、悠・・・・・・・」
頭が痛くなった。
私は咄嗟に走り出す。