I
「・・・・っあ・・・・・・・・・、」
悠が私から離れる。
体が軽くなった。
途端に、悠は私の肩を掴んで見つめた。
「・・・・そうだよ、志津・・・・・・・・。
あの日、俺は泣いたんだ」
「知ってるわ・・・・・・。私より、三歳も年上のくせに」
「志津は、“泣かないで”って俺に言ったんだ」
悠の唇が震えていた。
その唇を口付ける。
「悠の泣き顔は、私は一番嫌いなの」
悠の頭を抱く。
あぁ、そうだ。
私は・・・・・・・・・・
何でこんなことを忘れてたんだろう。